2025-08

作品

仮面葡萄会

仮面をかぶった老若男女がおびただしい葡萄の山をミサのように輪になって踏みしめ踏みしめ、足を取られた貴婦人がぐずぐずに崩れた葡萄に倒れ込むのをだまって粛々と輪になって踏みしめ踏みしめ、虫の息の最後の力を振り絞って掴んだ足首が死にかけの身体の埋...
作品

画集が苦手

度会わたらいくんは画集が苦手だと言った。一冊のなかに絵が何枚も入っていて、そのどれもが最初は本の中に入る気なんかなくて、一枚一枚おのおののやり方で、およそ読書に似合わない仕方で自分に交渉を要求してくるのが、度会くんには耐えられないらしい。「...
作品

ここは六月

世界に対する、希望と言いますか、期待と言いますか、春の陽のさんさん降り注いだようなやつが、どことなーくいい香り漂うそいつが、うっちゃられて見向きもされずぐずぐずに腐っていくことが、人生の各局面、中だるみの倦怠のなかで発生することがままありま...
作品

ねじれの位置

交わらない直線のうち平行でないものをねじれの位置にあるといいます先生わたしたちはねじれていますかせめてねじれることが出来るなら先生もねじれてみたいものですねわれわれはねじれるにはあまりにも動きすぎます先生わたしたちは動くことをやめさえすれば...
作品

交差点

すみれは交差点に立つことを想像する。渋谷のスクランブルみたいに大きな交差点では意味がない、かといって田舎のさびれた、人のまともに通らないところでもないような、ちゃんと都市の血管として機能していてかつ見晴らしのきく、夕焼けがわりあいに似合う交...
作品

口頭発表

証明します。 機上の意志は、無覚悟の発端。弁別するにも骨が折れる。未知数を仮定するとして、その妙味は飛行機のエンジン音くらい気にならない。 歩行を阻害する信頼の嵐。 めくらめっぽう光を発して機内全域は肉弾を放棄。 ぱちぱちとひとが死ぬ、ひと...
作品

夜の観察

夜というものの暗さが、まず第一に身体を包みます。とぷんと闇に身を差し入れて、全身を浸してみて、夜はとびきりの無音か、うだるような騒音にしゃかしゃかと降りしきられて、それが通過するか跳ね返るかで自分の身体に空あいたきめの細かさを測りながら、ひ...
活動予定

2025年9月、10月の活動予定

whisper(ムーニーマン氏のリリースパーティー)とき:9月6日(土) 16時~ところ:江古田COBRA入場料:1000円詳細記事はこちらSUNLIT POETとき:10月5日(日) 開場17:30、開演18:00(終演予定21:00)と...
おしらせ

【出演情報】2025.10.5(日)「SUNLIT POET」に出演します

8人の詩人によるポエトリー・リーディングライブ「SUNLIT POET」に出演します。こみちは15分の枠でテクストを朗読します。松戸のハンバーガー屋さんが会場です。実力派ぞろいの詩人のリーディングをハンバーガー片手にカジュアルに聴きに来ませ...
おしらせ

【出演情報】2025.9.6(土) ムーニーマン氏のリリースパーティーに出演します

ムーニーマン氏のニューアルバム「イッツアス○-ルワールド」のリリースパーティーに出演します。illなヒップホッパーが集うDJイベントで、ゴリゴリの朗読を10分間任されました。ラップでブチ上がりたい方、DJイベントでの朗読という摩訶不思議なシ...