記憶の祈り

更新される記憶たちが
入り乱れ折り重なりつつ
ひとつの像をたえず結びつづけるのを
僕らは静止画に思いなして
かたいかたい論理を
大脳にがっちりと組み上げては
その死人のような美しさに我を忘れる

会えない人と
会える人と
かつて会った人のことを
同時に思い出すときに
脳内を見据えるきみの視界は
ぐにゃりと曲がって
きみは会えない人の体温を
会える人の声で補いつづけ
かつて会った人たちがふいに
幻影のようにちらつくのを
知らないふりしつづけているのだと思い知る

そのとき大脳に据えられた論理は
時間から時間へと浮遊しつづけ
鋼鉄のような全身にいつしか
うっすらと赤い錆がまとわりつくことに
僕はこの世のすべての願いをかける

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